Profile

伍 芳(ウー・ファン)Wu-Fang ~中国古筝演奏家・作曲家~ (在日中国古筝藝術家学会会員・中国筝琴海外学会常務理事)

伍芳

中国・上海生まれ。9歳より中国古筝の第一人者、王昌元より手ほどきを受ける。その後、中国で最も難関といわれる上海音楽学校に入学。郭雪君に師事し、古筝を中心にピアノや音楽の基礎理論などを幅広く学ぶ。1990年7月同校を首席で卒業し、来日。

1996年9月に東芝EMIよりデビュ-アルバム「筝心」をリリ-スする。日本における中国楽器ブ-ムの先駆けとなる。その間、南こうせつ、伊勢正三、東儀秀樹(雅楽師)、中西俊博(ヴァイオリン)、木乃下真市(津軽三味線)、西村由紀江(ピアノ)、溝口 肇(チェロ)など数々のア-ティストと共演。「トップランナー」「徹子の部屋」など多数のテレビ・ラジオ番組に出演のほか、2002年には古谷一行氏の朗読とのコラボレ-ション(言の葉コンサ-ト・ツア-)、狂言、人形浄瑠璃文楽、和太鼓との共演、皇太子様、雅子様(当時)へ向けての単独での御前演奏等々、意欲的な演奏活動を行っている。また、さだまさし原作の映画「精霊流し」に音楽で参加している。

2004年2月25日には、映像付きの初めてのベストアルバム「万華鏡」をリリ-ス。同年5月には、ハワイにてグラミー賞受賞アーティストのSAX奏者、KENNY Gと共演し、高い評価を得る。これがきっかけとなり、同年7月のKENNY G JAPAN TOUR全公演にゲストとして参加する。2006年5月には、ドイツBambergで開催された「EuroFestival Zupfmusiku2006」に参加し、絶賛される。

2010年上海万博においては、オリジナル曲を中心とした音楽劇「彩虹橋」で公演を行い、故郷である上海で自身の音楽活動にエポックを画するようなイベントとなる。そして同年12月には、その音楽劇の再演を神戸で実現する。公演では音楽劇バージョンのオリジナル曲「彩虹橋」が好評を博し、その曲が収録された通算10枚目のアルバム「神戸チャイナ倶楽部」を2010年12月8日に発売。

2011年4月~2015年9月ABCラジオ「伍芳(ウー・ファン)のふらっと♪阪神沿線」、2016年4月~2017年8月FMCOCOLO「中国国家観光局 ウー・ファンといっしょに中国へ」のナビゲーターを務める。

2015年1月14日震災復興への祈りをこめたオリジナル曲「あのひとともに」を発表。同年11月神戸市文化奨励賞を受賞。これまで13枚のアルバムを発売。2019年3月20日に通算14枚目のアルバム「KOTOKOTO FANTASIA~筝箏夢絃~」を発売し、それをきっかけに25絃奏者久野木史恵と二人で「KOTOKOTO」ユニットを結成。

2023年3月12日より宇治興聖寺に通じる参道「琴坂」をテーマにしたオリジナル曲
「琴坂~KOTOZAKA~」を全世界へ配信。

現在は、中国の古典、現代曲だけにとどまらず、様々なジャンルに挑戦、一方で、自演はもちろん他のア-ティストへの楽曲提供など、作曲活動にも力を注ぐ。教育活動にも積極的に取り組み、古筝教室を開き古筝の普及にも努めている。独自の音楽世界<ウ-・ファンワ-ルド>は歩みを止めることなく、その確実なテクニックと美しい音色で聴衆を魅了し続けている。

筝(zheng) = 古筝(gu zheng)

古箏

古筝は中国の伝統的な民族楽器で弦楽器に属する弾撥弦楽器であり、日本のお琴のルーツでもあります。古筝の歴史は古く、既に春秋戦国時代に秦の地で流行していました。

古筝はそれ自体“錚錚(zheng zheng)”とした音を発することから命名されたという説があり、初期は5弦だったともいわれていますが、漢代以降12弦、13弦のものが現れ、明、清時代から15弦、16弦となりました。最近では、21弦、23弦、25弦などの古筝が多く演奏されるようになり、転調用のペダルが付いた26弦筝なども新たに作られています。古筝は桐の木で作った長方形の音箱にスチールの上にナイロンと絹糸を巻いた弦を張り、柱で音階を調節しながら、右指先に三つまたは四つ玳瑁で作られた義爪をテープで固定して弾きます。最近では曲によって両手に義爪をつけて演奏するスタイルも増えてきました。

古筝は華やかな音で、美しい叙情的な曲を表現できるほか、気勢盛んな曲もよく表現する事ができます。古人はかつて「筝を弾じて逸饗を奮わせ、新声妙にして入神たり、坐客筵に満ちて都(みな)語らず、一行の哀雁十三の声」といった生き生きとした詩句を用いて、古筝の演奏芸術の妙に触れ、古筝によって人がさまざまな思いを馳せる境地を描写してきました。また、演奏をしながら歌うスタイルも妙味であったようです。

何世紀にも渡る時代の変遷の中でも楽器の本質を失わず、その伝統を受け継ぎつつも常に新たな音楽的境地を求めて進化していく古筝は、未来に向けて多くの可能性を秘めながら響き続けていくことでしょう。

(解説:ウー・ファン)